収録データフォーマット
TAFFmatとは
ティアックのデータレコーダーの収録データファイルフォーマットは、TAFFmat (TEAC Data Acquisition File Format)を採用しています。収録されたデータファイルが、PCアプリケーションから読み取るのことのできるファイルフォーマットです。収録データファイルはバイナリ形式、収録条件ファイルはアスキー形式で構成されており、汎用ソフトでの解析が可能になります。
ファイルの種類
WX-7000 / LX-1000 / VR-24 / es8では記録を一時停止または停止するごとにバイナリ形式のデータファイルとASCII形式のヘッダファイルがそれぞれ1つずつ作成されます。
ファイル名 | 形式 |
---|---|
データファイル | A/D データなどを書き込む。 バイナリ形式、拡張子「DAT」 |
ヘッダファイル | 記録条件などを書き込む。 テキスト形式(ASCII形式)、拡張子「HDR」 |
音声メモファイル※ | 音声メモデータを書き込む。 WAV 形式、拡張子「WAV」 |
GPSファイル※ | GPSデータを書き込む。 拡張子「GPS」 |
CANファイル※ | CANデータを書きこむ。 拡張子「CAN」 |
CANインデックスファイル※ | CANデータの記録位置などを書き込む。 拡張子「CNX」 |
インデックスファイル | 記録条件などを書き込む。 テキスト形式(ASCII 形式)、拡張子「HDX」 |
ファイル名
データファイルとヘッダファイルのファイル名は共通で、指定のファイル名にID番号がつきます。ID番号は、新たなファイル名を指定するたびに「1」から始まり、記録を停止後(または一時停止後)に再開するたびに自動的にインクリメントします。また、記録時に同名、同一ID番号のデータファイルがすでにある場合は、その次のID番号になります。
ファイル名はNaviのファイル設定画面またはリモートコントロールユニット(オプション)の記録ファイル設定画面で指定します。半角英数字で29文字まで指定できます。このファイル名に001から始まる指定桁数のID番号がつきます。
SD記録の場合は3桁固定で最大32文字になります。
PC記録の場合は3~5桁が選択でき、最大32~34文字となります。
・ID番号が指定桁数を超えた場合、記録は停止します。
メディア上のフォルダー構造(例:LX-1000)
フォルダー種別 | 名称 | 詳細 |
---|---|---|
マスターフォルダー | LXDAT | ルート直下に作成します。 この中でデータ管理を行います。 名称は固定です。 |
プロジェクトフォルダー | 任意の文字 (例:LX-1000-DIR1) |
マスターフォルダー下に作成します。 任意の名称を設定できます。 記録を開始する度にサフィックス(SDは3桁、パソコンは3桁~5桁)を自動で追加してフォルダーを作成します。 |
記録フォルダー | 任意の文字 (例:LX-1000_) |
プロジェクトフォルダー下に作成します。 任意の名称を設定できます。 |
記録データ | 記録フォルダーと同じ | 4GByteでファイル分割したい場合は、「ハイフン+3桁のサフィックス」を追加します。 |
フォルダー構造例
パソコンに記録データを保存する場合、データ保存フォルダーは「ベースフォルダー」内に設定した「フォルダー」になります。
データファイル
AD変換されたデータは16ビットADの場合、-32768~+32767の2バイト整数値、24ビットADの場合-8388608~+8388607の4バイト整数値として記録されます。負数は2の補数で表されます。バイト順は下位バイト ⇒ 上位バイトのいわゆるインテルフォーマットです。データの順は第 1サンプリングのチャンネル順 ⇒ 第2サンプリングのチャンネル順 ⇒ … ⇒ 最終サンプリングのチャンネル順となります。これをINTERLACED形式と称し、ヘッダファイルの STORAGE_MODEに形式名が記述されます。データファイルの構造を下図の例で示します。例に示すひとかたまりのデータを本書では1つの「スキャン」と呼びます。データファイルはこのスキャンの繰り返しです。
例:サンプリング周波数6kHz時の1スキャンのデータ
データを物理量に換算するには
AD変換値は、16ビットADの場合は-32768~+32767の整数値で、設定した入力レンジに対して入力が±100%のときに±25000になります。24ビットADの場合は-8388608~+8388607の整数値で、設定した入力レンジに対して入力が±100%のときに±6400000になります。入力値は次の式で求められます。入力値=データファイルのAD変換値×SLOPE+Y_OFFSET
・SLOPE、Y_OFFSETは後述のヘッダファイルの解説を参照してください。
ヘッダファイル
ヘッダファイルは記録条件などを書き込むASCII形式のテキストファイルです。ヘッダファイルには記録条件を項目ごとに1行で記述してあり、各パラメーターは「,」で区切られています。以下にヘッダファイルの例を示します。
ヘッダファイルの例
DATASET | ファイル名 |
---|---|
VERSION | 1に固定 |
SERIES | 各チャンネル名 |
DATE | 記録開始日(月-日-年) |
TIME | 記録開始時刻(時:分:秒) |
RATE | サンプリング周波数(単位:Hz) |
VERT_UNITS | 各チャンネルの物理単位 |
HORZ_UNITS | 時間軸の単位(Secに固定) |
COMMENT | ファイル設定画面で入力したコメント |
NUM_SERIES | 記録チャンネル数 |
STORAGE_MODE | データ順。スキャン順なのでINTERLACEDに固定 |
FILE_TYPE | 16ビットADの場合は、1データ2バイト整数なのでINTEGER 24ビットADの場合は、1データ4バイト整数なのでLONG |
SLOPE | データを物理単位に変換するための係数 |
X_OFFSET | 先頭データの時間軸上の位置、通常は0 プリトリガー時はマイナスで設定値(秒数:小数点以下3桁)が書き込まれる プリトリガーをスキャン数で設定しても秒の単位になる |
Y_OFFSET | データを物理単位に変換するための加算定数 |
NUM_SAMPS | チャンネルあたりの記録データ数 |
DATA | これより下の情報は本機種に特有のものであり、他機種のフォーマットとは異なることを示す |
DEVICE | LX-1000 |
SLOTn | スロットnに実装されたアンプの名称、チャンネル数 |
CH1_ | アンダーバーに続き、PAアンプはチャンネル名、アンプ設定情報(入力レンジ、カップリング、センサー電流、聴感補正フィルター、HPF設定)、AOアンプは出力レンジ、出力チャンネル設定 |
REC_MODE | 記録先デバイス(SD、PC、SD+PC) |
END_TIME | 記録終了時刻 |
START_TRIGGER | 記録開始条件 COMMAND:コマンド DATE:スタート時間指定 EXT:外部トリガー TIME_OUT:タイムアウト SYNC:同期記録 PRE:プリトリガーの場合に追加される |
STOP_CONDITION | 記録終了条件 COMMAND:コマンド LEVEL:レベルトリガー TIMER:記録時間指定 EXT:外部トリガー MEDIA_FULL:メディアフル SYNC:同期記録 POST:ポストトリガーの場合に追加される |
START_PRE_COUNT | プリトリガーで記録したスキャン数 |
STOP_POST_COUNT | ポストトリガーで記録したスキャン数 |
MARK | イベントマークがつけられた瞬間のスキャン数 |
VOICE_MEMO | 音声メモデータの1サンプルあたりのビット数、データサイズ(バイト) |
LX-1000_VERSION | LX-1000のメインファームウェアとFPGAバージョン、アンプユニットのファームウエアとFPGAバージョン |
DIVIDE | ファイル分割番号(4GByte単位でファイルが分割された場合に追加される) |
SYNC | 同期記録設定 |
収録後データ解析ソフトウェア
TAFFmat (TEAC Data Acquisition File Format)フォーマットで収録したデータを表示させる、他フォーマットに変換、またはTAFFmatデータを直接読み込み解析が可能なソフトウェアをご紹介します。
TAFFmatファイルコンバーター
製品名 | 説明 |
---|---|
AFC NEO | TAFFmatファイルを他のフォーマットに変換 ファイル形式:TAFFmat/Text/Wav(16bit mono)/Merge(2 ファイルの)/Matlab/Head Acoustics/ATI/Universal/EDF/RPC3 ※変換で処理できるファイルサイズは2GB以下のファイルです。 ※変換先のファイル名やフォルダ名は日本語に対応していません。Windows で使用できる英数字を使用して下さい。 ※データ(SHORT/LONG)型により変換できるファイルフォーマットが異なります。 ※詳細仕様は、お問い合わせください。 |
TAFFfamos | TAFFmatファイルをFAMOSにファイル変換 |
MATLAB | mathworks社が開発したスクリプトファイル |
EDAS-DS(ソフトウェア用) | アプリケーションへのファイルコンバーター/コントロールAPI |
EMERSON(NI) | EMERSON(NI)社でファイルの読み取りとインポートをサポートしています。 https://www.ni.com/ja/support/downloads.html |
計測データ波形表示ソフトウエア(オフライン・ティアックオプション品)
製品名 | メーカー | 説明 |
---|---|---|
TX-View | ティアック | ティアック製レコーダーに対応するTAFFmat用ビューアーソフト |
LX-View | ティアック | TAFFmat用データビューアーソフト(IIRフィルタ標準) |
LX-1000用 解析ソフトウェア(リアルタイム)
製品名 | メーカー | 説明 |
---|---|---|
Spectra View® | ハビリス | 条件設定・波形モニター・FFT解析ソフトウェア |
Rotary View® | ハビリス | 回転軸振動データ収録解析用ソフトウェア |
CAT-System Pro | キャテック | データ収録・FFT・オクターブ解析ソフトウェア |
CAT-CMP | キャテック | 異音・振動判定システム |
WX-7000用 解析ソフトウェア(リアルタイム)
製品名 | メーカー | 説明 |
---|---|---|
EDAS SIGnal Workbench | コンカレント | タービン振動テストシステム |
Spectra View® | ハビリス | FFT用ソフトウェア |
VR-24用 解析ソフトウェア(リアルタイム)
製品名 | 説明 |
---|---|
VR View | データビューアー (映像信号・アナログ信号・CAN・GPS・パルスデータを1画面上にすべて表示、再生) |
RTA-VU | 解析ビューアー (時間軸波形・パワースペクトル・オクターブ・カラーコンター・周波数応答関数・自己相関関数) |
汎用解析ソフトウェア(オフライン、TAFFmatファイル対応)
カテゴリー | 製品名 | メーカー (輸入元) |
説明 |
---|---|---|---|
汎用 | DADiSP | CAEソリューション | EXCEL等で処理できない大きなデータの処理が可能なソフトウェア |
FlexPro | HULINKS | データを解析し提示する、パワフルで直感的なソフトウェアアプリケーション | |
Oscope 2 | 小野測器 | 時系列データ解析ツール | |
DIAdem | National Instrumentsu | 計測データの後処理の効率を向上させる単一の統合型ソフトウェア | |
imc FAMOS | 東陽テクニカ | 波形解析ソフトウェア | |
騒⾳振動・回転軸振動 | ME'scopeVES | システムプラス | 機械・構造物の振動/音響現象の実験解析を簡単に処理 |
LMS Test.Lab | Siemens | 分析ツール | |
B&K PULSE | HBM | HBMグループB&K社製の音響解析ソフトウェア 16ビットのみ |
- CAT-System Pro
- DADiSP
- Oscope 2
- LMS Test.Lab
- B&K PULSE
- EDAS SIGnal Workbench